精米歩合90%の挑戦。糸井重里さんが名付けた、お米の力強さを感じる「有りがたし」
新潟県上越市、よしかわ杜氏の郷から届いた一本の緑のボトル。ラベルには力強い筆致で「有りがたし」と記されています。この印象的な名前は、コピーライターの糸井重里さんがその味わいに驚き、思わず口にした言葉から名付けられたといいます。

このお酒の最大の特徴は、なんといっても「90%」という精米歩合にあります。通常、酒米の王様と呼ばれる山田錦は、雑味を抑えるために40%から50%まで磨き上げ、大吟醸や吟醸酒として仕込まれるのが一般的です。しかし「有りがたし」は、あえてほとんど玄米に近い状態からお酒を造り上げています。
それを可能にしたのが、地元よしかわで「永田農法」によって育てられた山田錦です。窒素系の肥料を抑えて育てられたこのお米は、雑味の原因となるタンパク質が少なく、それでいて糖度が高いという、酒米として理想的な特質を備えています。お米そのものが持つ力強い生命力を、そのままお酒に映し出したい。そんな願いがこの一本には込められています。

もちろん、90%精米での酒造りは未知の世界でした。洗米や浸水、麹造りに至るまで、通常の造りとは全く異なる繊細な管理が求められます。そこを支えたのが、よしかわ杜氏たちが代々受け継いできた伝統の技術。試行錯誤を繰り返し、たどり着いたのがこの「今までにない日本酒」の形です。
グラスに注ぐと、バナナやバニラを思わせるふくよかで豊かな香りが立ち上がります。口に含めば、お米の奥深い旨みと親しみやすい甘さが広がり、その力強い味わいをしっかりとした酸味がキュッと引き締めてくれます。新潟のお酒といえば「淡麗辛口」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、そのイメージを鮮やかに裏切る、豊潤で抜群のキレを持つ美味しさです。

しっかりとした旨味があるため、お肉料理や中華料理といった、味の濃いお料理とも素晴らしい相性を見せてくれます。お米の個性を丸ごと味わうような、贅沢で新しい体験。食卓の真ん中に置いて、ゆっくりとその奥深さを紐解いていきたくなる一本です。






