海を想わせるクジラのラベルと。高知の風土が醸す「酔鯨 特別純米酒」で愉しむ晩酌
穏やかな灯りの下、木目のテーブルに置かれた一本のボトル。ラベルに描かれた悠々と泳ぐクジラの姿に、ふと土佐の海を想い浮かべます。高知県の酔鯨酒造が醸す「酔鯨 特別純米酒」は、その名の通り、どこか力強さと潔さを感じさせる佇まいをしています。

グラスを木枡の中に置き、なみなみと注ぐ「もっきり」のスタイルで用意すると、その透明感のあるお酒から、まずは控えめで落ち着いた香りが立ち上がります。華やかさを競うのではなく、あくまで食事の傍らにあることを選んだような、謙虚な香りの立ち上がりです。
このお酒の背景には、素材の良さを引き出すための丁寧な仕事が隠されています。原料となるお米は、産地や品種ごとの特性をじっくりと見極め、精米歩合60%まで磨き上げられています。そこに合わせるのは、高知市内を流れる鏡川の源流水。自社酵母を使い、力強い麹を造り込んでから、低温でじっくりと時間をかけて醸されます。こうした一連の工程が、酔鯨ならではの凛とした骨格を作り上げているのでしょう。

ひと口含んでみると、まずはお米の確かな旨みが広がります。特筆すべきは、酔鯨特有の心地よい酸味です。味わいにしっかりとした幅を感じさせながらも、後口は驚くほど軽やかで、スッと引いていくようなキレがあります。この「幅があるのにキレがある」という絶妙なバランスが、次の一口を誘います。
そんなキレの良い辛口の味わいには、やはり旨みの強い酒の肴がよく合います。例えば、自家製のイカの塩辛。潮の香りと濃厚なワタのコクを、お酒の酸味とキレが綺麗に包み込み、口の中をリセットしてくれます。お互いの良さを引き立て合う組み合わせに、ついつい盃が進んでしまいます。
搾った後は低温タンクで保存され、出荷に合わせて瓶詰めされるというこのお酒。食中酒として最適なその実力は、日々の何気ない食卓を、少しだけ特別で豊かな時間に変えてくれるはずです。






