料理とも響き合う、上品な甘みとコク。新潟・八海醸造の「八海山 貴醸酒」を愉しむ
テーブルに置かれた、凛とした佇まいのスクエアボトル。グラスに注がれたお酒は、光を透かして柔らかな黄金色に輝いています。新潟県・八海醸造が手掛ける「八海山 貴醸酒」は、その成り立ちからして少し贅沢な一本です。

「貴醸酒」という言葉に、耳馴染みのない方もいるかもしれません。これは、お酒を造る三段階の仕込みの最後、水の代わりに「清酒」を使って仕込むという、非常に手の込んだ手法で造られたお酒のこと。水ではなくお酒で醸すことで、とろりとした質感と、深みのある上品な甘さが生まれるのです。
実際に口に含んでみると、まずはフルーティーで柔らかな口当たりが広がります。日本酒度-36.0という数値からも分かる通り、しっかりとした甘みを感じますが、酸度2.5という絶妙なバランスのおかげで、決して重すぎません。コクがありながらも、食中酒として料理と一緒に楽しめる軽やかさも持ち合わせています。
原料には、麹米に五百万石、掛米にこしいぶきを使用し、精米歩合60%まで磨き上げられています。協会901号酵母によって引き出された香りは、穏やかで上品。アルコール度数は17.0%と少し高めですが、その分、一滴一滴に詰まった旨みをじっくりと堪能したくなります。
このお酒のもう一つの楽しみは、時間の経過とともに訪れます。今回瓶詰めされているのは、出来立ての爽やかさが残る熟成前のお酒。手元に置いておくことで、色が重厚な琥珀色へと移り変わり、味わいがさらに円熟していく様子を自分で育てるように楽しむことができるのです。今この瞬間の瑞々しさを味わうか、それとも未来の深みを待つか。そんな贅沢な悩みに浸るのも、日本酒ならではの豊かな時間かもしれません。






