骨太な旨味に包まれる、石川の銘酒「菊姫 山廃純米」との出会い
カウンターに置かれた一本のボトル。ラベルに力強く躍る「山廃仕込」の文字が、どこか誇らしげに映ります。石川県で醸される「菊姫 山廃純米」は、その名の通り、伝統的な技法にこだわり抜いた一本です。

昭和58年、日本酒業界で初めてラベルに「山廃仕込」と記して発売されたのが、この純米酒でした。日本酒造りには「酒母(しゅぼ)」という酵母を育てる大切な工程がありますが、山廃はその中でも、自然の乳酸菌の力を借りる昔ながらの造り方です。酵母と乳酸菌が共生しながらゆっくりと育つことで、酸味と濃さが際立つ、剛健な味わいが生まれます。
グラスを近づけると、ナッツやカラメルを思わせる芳醇な香りがふわりと鼻をくすぐります。口に含むと、力強い酸味と米のたっぷりとした旨味が重なり合い、コク豊かな風味が口いっぱいに広がっていくのがわかります。そのしっかりとした飲み応えは、まさに「男酒」と呼びたくなるような、芯の通った個性を感じさせてくれます。
力強い個性を持っていますが、不思議と料理にそっと寄り添ってくれる一面も持っています。ひと口飲めばその豊かな旨味に驚き、食卓がより一層華やぐことに気づくはずです。米の甘味が活きた優しい「女酒」とされる「金劔(きんつるぎ)」と飲み比べて、その対照的な個性に触れてみるのも、このお酒ならではの楽しみ方でしょう。






