三朝温泉の夜に寄り添う一献。土蔵で眠り、町に愛される「三朝正宗 上撰」
鳥取県の名湯として知られる三朝温泉。その地で古くから地元の人々に愛され、温泉街の日常に溶け込んでいるお酒があります。藤井酒造合資会社が醸す「三朝正宗 上撰」です。

茶色の瓶に貼られたラベルには、どこか懐かしさを感じる「みささまさむね」の柔らかなひらがなが躍ります。かつての級別制度において「一級」に相当したこのお酒は、今も変わらず町の顔として親しまれています。三朝温泉の旅館で「三朝正宗を」と指名すれば、決まってこの一本が運ばれてくる。そんな、土地の信頼を一身に背負った存在です。
このお酒の大きな特徴は、約1年間という時間を土蔵の中で静かに過ごしていることです。じっくりと熟成させることで、味わいは甘口と辛口の中間的な、落ち着きのある表情へと変化します。口に含むと感じられる甘口の優しさは、熟成を経て角が取れ、しっくりと体に馴染むような印象を与えてくれます。
際立った癖がなく、まさに「日本酒らしい」王道の佇まい。だからこそ、どんな温度でも楽しめる万能な一面を持っています。きりっと冷やしていただくのはもちろん、ぬる燗にすると熟成由来のまろやかさがさらに引き立ち、ゆったりとした心地よさを運んできます。
その絆は食卓だけにとどまりません。三朝神社の神事やお神酒として、また季節ごとの行事や三朝温泉の祭り「花湯まつり」でも欠かせないお酒として、人々の祈りや歓喜の場に寄り添い続けてきました。湯上がりのひとときに、あるいは地元の祭りの熱気の中で。三朝の風土とともに育まれてきた、誠実な味わいの一献です。






