秋の風を感じて。滋賀・藤本酒造「神開 純米山廃仕込ひやおろし」で楽しむ温度の妙
少しずつ空が高くなり、秋の気配が濃くなってくると、手に取りたくなるのが「ひやおろし」です。滋賀県甲賀市にある藤本酒造が醸す「神開 純米山廃仕込ひやおろし」は、そんな季節の移ろいにそっと寄り添ってくれるような一本です。

ラベルに目を向けると、スッと描かれた一匹の赤とんぼが印象的。和紙のような柔らかな質感のラベルに、力強くも温かみのある「神開」の文字が並びます。肩貼りには「滋賀 玉栄 山廃仕込」の赤文字。地元の米を使い、伝統的な手法でじっくりと醸されたことが伝わってきます。
まずはきりっと冷酒で。ひやおろしらしい、落ち着いた旨口の味わいが広がります。山廃仕込ならではの奥深さが、冷やした状態でもしっかりと輪郭を持って感じられます。角打ちのようなカジュアルな場所で、一日の締めくくりにゆっくりと味わうのにもぴったりの佇まいです。

このお酒の面白いところは、温度を変えることで見せてくれる表情の豊かさです。冷酒でその旨みを堪能したあと、少し温めて燗酒にしてみるのも楽しみの一つ。温度が上がることで旨みの層がより一層厚みを増していくようで、冷酒の時とはまた違う美味しさに出会えます。冷酒から燗酒まで、合う温度の幅が驚くほど広く、その時々の気分や料理に合わせて自由に楽しめる懐の深さがあります。
裏ラベルを眺めると、精米歩合60%の滋賀県産玉栄を100%使用していることが分かります。秋の夜長、少しずつ温度を変えながら、このお酒が持つ多彩な魅力を探ってみるのも、ひやおろしならではの贅沢な過ごし方かもしれません。
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